心結(ここな)のそらいろ

こころを看る こころを結ぶ 老年看護師日記

脱水予防~1分でできる脱水セルフチェック~

厳しい暑さが続く季節、各地で熱中症警戒アラートも発令されています。

 今回は“高齢者の脱水”に注目します。

 暑さの感じ方は人それぞれ。ご自宅を訪問した際、室温が30度を超えていても「暑さには強いの。」「エアコンは身体が冷えるからつけない。」なんてお話される方もいらっしゃいます。しかし、今の季節、自分だけは大丈夫!とはいきません。本当に危険です。生命を守るための知識を、実行に移して下さると嬉しいです。

 

【目次】

 

 

1.”1分でできる”5つの脱水セルフチェック   

下記の5項目、チェックをしてみて下さいね。

チェック部位

方 法

チェック ポイント

①握手して🤝

 手を触って

手が冷たくなっていたら、脱水疑うべし(脱水で末梢部手足の血流低下)

②皮膚つまんで🤌

手の甲(手背)や腕(前腕部)の皮膚をつまみ上げて離す

つまんだ皮膚の形が3秒以上戻らなけば、脱水疑うべし(皮膚のカサつきがある、ポロポロ皮膚が落ちる)

③指の爪押して👆🏻

親指の爪の先を指で数秒押して離す

爪色の赤みが戻るのが3秒以上かかると、脱水疑うべし

④ベロ見せて('👅')

口腔内、舌の乾燥を確認

乾燥していたら、脱水疑うべし(唾液が少なくゴクンと飲めない、口の中がねばつく、パサつく)

⑤脇の下触って

脇の下(腋窩)を確認

乾燥していたら、脱水疑うべし(脱水になると汗が出なくなりサラサラ、脇の皮膚はじっとりしている方がよい)

いかがですか?

1項目以上該当し、すでに体調不良が生じている場合は、脱水症状のサインです。

 

さらに… 

▢ 何となく元気がない

(食欲がなく、食事量が減っている)

▢ 尿の回数が少なく、色が濃い

▢ 便秘気味、便が硬くなっている

▢ 微熱が続いている

▢ いつもより血圧が低く、脈拍が速くなっている

 

該当項目が多くなる程、脱水は進行しています。早めに医師への相談が必要です。

 

 

2.高齢者の体液の割合

人の体は、加齢と共に身体の体液(水分量)は減少していきます。高齢者は水分予備能力が低下しているため、体液が不足すると、様々な身体の不調が生じてしまうのです。脱水がきっかけで持病が重篤化してしまう危険もあり、身体の水分量がとても大切です。

 

体重あたりの水分割合

小 児

     80%

成 人

     60%

高齢者

     50%

Q『体液』どんな役割があるの?   

A 「①必要な酸素や栄養素を運ぶ ②不要な老廃物を運び出す ③体温調整」と、生命を維持する上で重要な役割を担っています。

 

3.高齢者が脱水になりやすい理由

  • のどが渇いていることに気づきにくい
  • 「トイレが近くなるから」と水分摂取を控えがち
  • 体液、水分の貯蔵庫である筋肉量が減少
  • 内服している💊薬の影響(利尿剤、下剤の服用)

※ 下記に該当する方は特に注意が必要です。

・糖尿病がある ・腎臓疾患がある ・身体機能が低下している ・嚥下障害がある ・認知症がある

📝ONE POINT

認知症の方は、脱水の発見が遅くなりやすい特徴があります。

脳の働きの低下や自律神経の影響から、脱水を起こしやすい状況があります。また、判断力低下にて脱水の自覚が難しく、水分摂取がなかなか進まないことがあります。脱水の進行で、幻覚や幻聴、うろうろと動き回ったりと、”せん妄”や、認知症状の悪化がみられることもあります。周囲の方の早めの気付き、サポートが重要です。 

 

 

4.脱水症状のサイン~見逃さないで〜

口渇感、尿や汗が少ない、微熱がある、体重減少がある

食欲低下、悪心、嘔吐、便秘、下痢

頭痛、めまい、立ちくらみ、集中力・記憶力低下、痙攣、意識消失

筋肉痛、しびれ、こむら返り、麻痺

【🏥応急処置】

上記、脱水症状がみられ、経口摂取が困難な場合は、主治医へ連絡、受診を!症状が軽度で、経口摂取が可能な場合は、体重1㎏あたり30~50㎖の量の経口補水液を、4時間以内を目安に飲むよう少しずつ飲用開始します。

 

5.水分摂取のコツ~水を飲むだけではダメ~

①飲み物の種類 

水だけの補給はダメ! 体液=💧「水」+「塩分」で、できています。

脱水状態の時に、電解質の低い飲み物ばかりを飲んでいると、体液が薄まります。そうすると、身体の水の濃度を保つために利尿作用が促され、さらに脱水となるという悪循環に。経口補水液を活用しましょう。塩分、糖分をバランスよく含んでおり、身体への吸収力がUPします。もちろん、水、お茶も構いませんが、その場合は塩分を少し加えて下さい。 

Q 「経口補水液」と「スポーツドリンク」の違い?

A  スポーツドリンクは、経口補水液と比べた場合は、一般的に糖質濃度が高めで電解質濃度が低めです。水分補給では飲みやすく適していますので問題ありませんが、脱水症状がみられた場合は、経口補水液を活用しましょう。

②量

1日の必要水分量の目安は…

食事3食に含まれる水分量(1000㎖)+水分摂取(1000㎖) =2000㎖を目安にします。

(体重1㎏あたり約40㎖×体重50㎏の方=約2000㎖)

心不全等にて水分制限をされている方は、医師の指示に従って下さい。

📝ONE POINT

飲水量の確認がとれにくい方、自己管理が難しい方には、1日の飲用量が分かるように水筒やペットボトル等で、予め準備をするのもポイントです。

 

③回数

「のどが渇く前」がポイント!1日8回 目安にこまめに水分補給を。 

1回目

2回目

3回目

4回目

5回目

6回目

7回目

8回目

起床時🥛

朝食🍽

10時🍵

昼食🍽

15時☕️

夕食🍽

入浴前後

就寝時

 水分がなかなか進まない方には、

 水分が多く含まれる野菜🍉果物、ゼリー等を取り入れるといいですね。

 

  6.自宅でも作れる経口補水液の作り方

 

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1日に飲む量は見える化、食べ物からの水分摂取も工夫して!

 適切な冷房を使用と、脱水予防の取り組みにて、熱中症を予防しましょう。

健康の知識と実行するチカラを持って、皆で支え合い、大変な生活を乗り越えていきましょう!